出産が近づいてくると、いよいよ赤ちゃんとの生活にむけて準備が始まります。
出産までに準備が必要なものの中に「哺乳瓶」と書かれているのを見て、
こんなにたくさんの種類の哺乳瓶の中から、どの哺乳瓶を選んだらいいの?
ネットショッピングのページや店頭に並ぶ哺乳瓶を前にしても、どれがいいのか見当がつかない。
この記事ではそんなママたちのために、初めての哺乳瓶を選ぶときのポイントと、現役保育士が実際に使ってみておすすめする哺乳瓶を紹介します。
後半はミルク育児に関する疑問についても詳しく解説していますので、ぜひ最後までお付き合いください。
- はじめての哺乳瓶を選ぶときのポイント
- 自分の子にあう哺乳瓶
- 哺乳瓶の素材やパーツの特徴とメリットデメリット
どれにする?1本目の哺乳瓶を選ぶポイントは?
はじめての育児を目前にしているママにとって、出産後の生活を想像するのは難しいものです。
母乳、もしくはミルクだけで育てるのか、それとも母乳とミルク両方で育てるのか。
理想を思い描いていてもなかなかそれ通りにいかないのが子育て。
赤ちゃんがどれだけ母乳を飲んでくれるのかも、生まれてみないとわかりません。
まず初めに準備しておく一本は新生児期から使えて、母乳育児の赤ちゃんでも抵抗なく受け入れやすい形や材質のものを選びましょう。
哺乳瓶 ボトルのサイズ
哺乳瓶のボトルには80mlの少量から240mlの大きいものまでそろっています。
赤ちゃんは成長していくにつれ、ミルクを飲む量がだんだん増えます。
哺乳瓶のボトルサイズもその時の赤ちゃんに合うように、サイズアップしていくのが理想的です。
月齢 | ミルクの量(目安) | 適応する哺乳瓶のボトルサイズ |
生後0日 | 10ml | 80mlサイズ |
生後1日~生後7日 | 1日当たり10mlずつ増やしていく | 80mlサイズ |
生後8日 | 80ml | 80mlサイズ |
生後1ヶ月 | 80ml~120ml | 160mlサイズ |
生後1~3ヵ月 | 120ml~160ml | 160mlサイズ |
生後3~5か月 | 160ml~200ml | 240mlサイズ |
生後5~12ヶ月 | 200ml~220ml | 240mlサイズ |
最初から、一番大きな哺乳瓶を買ったらダメなの?
最初から完全にミルクのみで育てることに決めている場合は、240mlのボトルでも良いかもしれません。
ですが母乳のみだったり、母乳とミルクの混合育児の場合、240mlのミルクを飲む機会があまりないかもしれません。
生後7、8か月になると離乳食の量が増えてくるため、食後のミルク量も減ってきます。
そうなった場合、大きめの240mlボトルは
「場所をとる」
「まだ少量しか飲まない新生児期や生後2~3ヵ月の時は必要以上に哺乳瓶をかたむけないといけない」
といった、デメリットが。
最初の哺乳瓶は160mlサイズを購入し、必要に応じて240mlにサイズアップするママが多いようです。
哺乳瓶ボトルの素材
哺乳瓶のボトルに使われている素材は大きく分けて4種類あります。
それぞれの特徴を見て、自身のライフスタイルにあった素材を選びましょう。
ボトルの素材 | メリット | デメリット |
ガラス | 熱伝導がよく、温めるにも冷ますにも 時間がかからない 消毒方法が多い (熱湯消毒、電子レンジ消毒、 専用の薬液での消毒) 傷がつきにくい | 重いのでお出かけ時に荷物になる 割れてしまう危険性がある |
プラスチック | ガラス製よりミルクが冷めにくい 軽くて持ち運びに便利・割れにくい | ミルクが冷めるのに時間がかかる 傷がつきやすく、傷に菌が入り込むことがある 消毒方法が限られる |
トライタン※ | 強い力が加わっても割れにくい 耐熱99℃で、食洗器で洗浄できる 傷がつきにくい 軽くて持ち運びに便利 | 製造していないメーカーがある |
シリコン | 割れない 軽い さわり心地がやわらかい 消毒方法が多い (熱湯消毒、電子レンジ消毒、 専用の薬液での消毒) | 製造していないメーカーがある 価格が高め ミルクが冷めるのに時間がかかる |
※トライタンとは最新の合成樹脂で、「コポリエステル樹脂」のこと。
それぞれの素材の特徴を見てみると、
「お家での授乳が多い場合は消毒や調乳に手間のかからないガラス製が。」
「お出かけする機会が多い場合は、軽くて持ち運びに便利なプラスチック製やトライタン製が。」
と、それぞれの便利の良さが見えてきますね。
筆者も、お家ではガラスタイプ・お出かけの際にはプラスチックと使い分けていました。
ボトルの形
メーカーによって、スリムなタイプのものや、手で持つときにフィットするように設計されたものといろいろあります。
それぞれの形のメリットをまとめてみました。
ボトルの形 | おすすめポイント | おすすめしたい人 |
ストレートタイプ | 持ち運びにカバンの中の場所をとらない | お出かけする機会が多い人 |
くびれタイプ | 手になじみが良い | 赤ちゃん自身がボトルをもってミルクを飲むことがある |
カーブタイプ | ボトルがカーブすることで赤ちゃんが空気を飲み込みにくい | ゲップがなかなか出なかったり、吐き戻しが多い場合 |
カーブタイプのボトルは、はき戻しやゲップがうまくできない赤ちゃんがミルクを飲むときに空気を飲み込みにくいようにカーブしているので選ぶ時の基準に加えてみてくださいね。
ニップル(乳首)の素材
初めて哺乳瓶を使う赤ちゃんは、ニップル(ちくび)の吸い心地や口に入れた時の感触にとても敏感です。
赤ちゃんがなじみやすく、衛生的に保てる素材を選びましょう。
シリコン製 | ゴム製 | |
耐久性 | 〇 | ◎ |
消毒 | ◎ | 〇 |
におい | ◎ | △ |
比較的シリコン素材が人気で、においも特になく消毒も複数の方法があります。
一方、ゴムのニップルはゴム特有のにおいを感じるのがデメリット。
しかし、シリコンより柔らかさがありママの乳首に似た感覚で吸うことができます。
シリコンのニップルになかなかなじめない場合は試してみると良いでしょう。
ニップル(乳首)のサイズ
哺乳瓶のニップルの穴のサイズも月齢や赤ちゃんの飲む力強さによって、変化します。
穴の大きさや形によって、ミルクの出方や量が変わってくるので慎重に選ぶことが必要です。
また、
「飲むのに時間がかかって赤ちゃんが疲れてしまう」
「たくさん出すぎて赤ちゃんの満足感が十分に得られない」
といった場合もニップルを取り換えることで調節することができるので、赤ちゃんの哺乳の様子や成長に合わせてその都度変えていきましょう。
月齢 | 乳首のサイズの目安 | 吸い穴の形 |
新生児~0ヶ月 | SSサイズ | 丸穴 |
1ヶ月~2か月頃 | Sサイズ | 丸穴 |
3ヵ月~5か月頃 | Mサイズ | Y字型 |
6ヶ月~8か月頃 | Lサイズ | Y字型 |
9ヶ月~12ヶ月頃 | LLサイズ | Y字型 |
上の表はpigeonの母乳実感の吸い穴サイズの目安です。
メーカーによって乳首の穴のサイズや、ミルクの出方に違いがあるので購入の際に確認しましょう。
保育士が選ぶ おすすめ哺乳瓶3選
筆者が保育士として実際に保育園で使っている哺乳瓶の中で、特におすすめしたいものを3つ紹介します。
入園してくる赤ちゃんの中には、母乳育児からミルク育児への移行がうまくいかず、哺乳瓶に抵抗を持つ子もいます。
そんな赤ちゃんと何人も関わってきた中で、何度も活用してきた哺乳瓶です。
はじめての哺乳瓶選びの参考にしてみてください。
ピジョン 母乳実感
哺乳の3原則、吸着・吸てつ・嚥下をしっかりサポートし自然な口の動きで飲めるのがポイントです。
母乳育児との併用がスムーズにできることを目指して作られており、初めて哺乳瓶を使う赤ちゃんでも抵抗が少ない形になっています。
初めての授乳で、どこまでニップルをくわえさせたら良いのかわからないママのために、くわえる深さの目安となる「ラッチオンライン」がついているので初めての授乳にぴったりです。
ヌーク
ドイツを代表する哺乳瓶メーカーのNUK。
赤ちゃんのお口の中で柔軟に形を変えるママの乳首を再現した独自のニップルです。
赤ちゃんが産まれながらに持っている「おっぱいを飲む技術」を使って飲むことができます。
哺乳瓶授乳でも、おっぱいと同じように舌やあご、口の周りの筋肉が発達し口腔の基礎が育まれ、生涯を通じた健康づくりに良い影響を与えます。
ドクターベッタ 哺乳瓶
ドクターベッタの哺乳瓶は、独自のカーブによって授乳時の姿勢を母乳授乳と同じ姿勢になるようにコントロールしています。
頭を起こした姿勢でミルクが飲めることで、耳管へのミルクの流れ込みを防ぎ、お耳にも安心。
自然な姿勢でスムーズにミルクが食道に流れて、誤嚥を防ぎます。
カーブに沿って上へ上へ泡が逃げ、空気の飲み込みを減らし、ゲップを軽減します。
哺乳瓶について よくあるQ&A
初めての育児で、初めて出会う哺乳瓶。
お手入れ方法や、どのくらいの期間使うのか、ママたちの素朴な疑問に答えました。
哺乳瓶の正しい消毒方法
新生児期の赤ちゃんの免疫力は大人と比べるとずっと低いです。
哺乳瓶は直接赤ちゃんの口の中に触れるもの。衛生管理はしっかりとするようにしましょう。
いつまで消毒を続けたらいいの?
「〇ヶ月になるまでは消毒をしましょう。」
という決まりはありません。
赤ちゃんには生後6ヶ月ごろになると大人の半分くらいの免疫力が備わると言います。
さらに、自分の手や指を舐めたり口に入れたりし始めるころ。
この頃には少しずつ、常在菌を身体に取り入れながら免疫力を高めていくので、消毒はしなくても大丈夫になります。
余った消毒液は捨てずに取っておきましょう。
雑菌が繁殖しやすい梅雨の時期や胃腸炎が流行っている時などは、ママの判断で消毒を再開してください。
哺乳瓶の消毒方法
哺乳瓶を消毒するには何種類か方法があります。
どの方法が無理なく続けられるのか、自分の生活に合った消毒方法を見つけてくださいね。
- 煮沸消毒
-
煮沸消毒は特別な器具がいらない1番簡単な消毒方法です。
煮沸する前に、哺乳瓶、ジョイント、ニップルを専用洗剤で洗います。哺乳瓶の乳首やボトルの口の部分にはミルクが残りがちになります。
専用のスティックを使って綺麗にしましょう。
おおきな鍋に洗った哺乳瓶、ジョイント、ニップルを入れてお湯を沸かし沸騰させます。
煮沸消毒の時間はガラス製なら7分程度、乳首とキャップは3~5分程度を目安としましょう。
- 専用消毒液
-
哺乳瓶専用の消毒液につけて、消毒する方法です。
大きな容器に規定量の消毒液を溶かし、哺乳瓶、ニップル、ジョイントをバラバラにしてつけておきます。
1時間以上つけておくだけで、しっかり殺菌と消毒をしてくれます。
- 電子レンジ消毒
-
専用の容器か袋に水と哺乳瓶、ニップル、ジョイントをいれ、家庭用電子レンジ500W~700Wで消毒しましょう。
消毒後は高温になるので、冷めるまで電子レンジの中に置いておきます。火傷に注意しましょう。
哺乳瓶はいつまで使う?
哺乳瓶をいつまで使って良いのかといった決まりはありません。
哺乳瓶を使う頻度や飲む量によりますが、多くの子は1歳〜1歳半までの間に哺乳瓶を卒業して、コップのみに移行していきます。
離乳食のスープを飲む時に、お椀を口元に近づけて直接飲むとコップから飲む練習になります。
1歳過ぎた頃から少しずつ、お椀やコップから飲む習慣をつけていくといいですね。
日本小児歯科学会によると1歳半までに卒業するのが望ましいとされています。
その時の子どもの様子を見ながら無理に哺乳瓶を遠ざけるのではなく、少しずつストロー飲みやコップ飲みへと移行していくとよいでしょう。
外出の時のミルク授乳に必要なもの
最近では液体ミルクが店頭にならび、災害時以外でもおでかけの時に利用するママも増えてきているようです。
缶に専用のアタッチメントをつけて、その場で授乳できるのは、とっても便利ですね。
荷物は減るし、授乳までの工程も簡単。
ドラッグストアでも購入できるようなので、いざという時すぐに授乳できるのが最大のメリットですね。
ですが、度々のこととなると価格が気になります。
そんな時は自宅にあるものを使って外出時の持ち物を準備しましょう。
- 哺乳瓶
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お出かけの時間によって準備する哺乳瓶の本数が変わります。1回の授乳につき1本準備しましょう。
- 保温性のある水筒
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ミルクを溶かすために熱湯を入れておきます。
- 湯冷まし
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熱湯で溶かしたミルクを適温に冷ますために使います。こちらは保温ボトルでなくてもOKです。
- 粉ミルク
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スティック状になっている固形ミルク、もしくは計量した粉ミルク
外出時はスティック状のミルクが便利ですが、いつも粉を使っている場合は、こちらのように小分けにして保存できる容器や袋も便利です。
その他にも、哺乳瓶に直接一回量の粉ミルクを入れておく方法もあります。
この場合は湿度の低い場所で保管がおすすめ。
湿気で哺乳瓶に粉ミルクがくっついてしまうと溶けにくいことがあるので注意してくださいね。
まとめ
この記事では、出産準備中のママがはじめての哺乳瓶を選ぶ時のポイントについて解説しました。
出産後の授乳についてなかなか想像しづらい中選ぶ、最初の哺乳瓶。
産まれてくる赤ちゃんが小さいお口で一生懸命ミルクを飲む姿を想像しながら楽しく選んでみてください。
もし完全母乳で育てる場合でも、
「離乳食が始まった時期に麦茶を飲むのに使う」
「ママが体調を崩してしまった時にパパがミルクを授乳するときに使う」
など何かと使い道はあるものです。
出産後はライフスタイルや利用シーン、赤ちゃんの月齢によって必要な本数が見えてきます。
あなたの家族に合った使い方で、お気に入りの哺乳瓶を見つけてみてくださいね。
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